うさぎやすぽん『キミの青春、私のキスはいらないの?』とシンガーソングライターについて
うさぎやすぽん著 あまなイラスト『キミの青春、私のキスはいらないの?』2021年6月発売 電撃文庫
本筋としてはライトノベルの青春ラブコメというジャンルなのだけれど、
作中、好きなシンガーソングライターが亡くなったことで、将来の夢に対する意識や物事の感じ方が変わったキャラクターが登場する。
また、全ての思い出には意味があるのだと肯定してくれるシーンがある。
自分も敬愛する歌手が亡くなったり、はたまた応援している方が活動を辞めてしまうことを経験しました。
描かれる物語の、憧れ→喪失→物事は無駄だから良いんだ→いや物事にそもそも無駄なんてない、というような心情の変化に共感できるのも、辛い経験をしたことへのご褒美の一つなのかもしれません。
受け取った想いは過去や悲しみに囚われる殻や甘さだけではなく、自身を見つめなおしたり前を向くための芯や支えになる。
忘れるかのように乗り越えるのではなく、常に疼くような苦い痛みとかけがえのない思い出を一緒に、それさえもまとめて好きという気持ちとして、大切に持ち続けておきたいのです。
のこしてくれたメッセージと音楽は、ずっと心の中に生き続けています。